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豚の角煮だよ全員集合

豚の角煮好きのたわいもない話です。

トークショー

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トークショー

週末に南青山でとある大写真家先生によるトークショーがあったのであしを運んだ。
(今年のオープン以来、何度か訪れているギャラリーだが、
名前の由来を今回はじめて理解した。いつも作品に目をとられていたが、
よく見ると、壁の一カ所に「ネズミの穴」があったのだ)
会場は席がいっぱいになるほど人が集まっていた。
比較的、若い人が多かったようにおもう。
ぼくは、単純に大写真家先生のお顔を拝見したかった、
という理由である。
どんな写真家なのか非常に興味があった。
五、六年まえだったか、写真集をはじめて見て以来、
そうおもっていたのだ。

思い出したんだが、
確かヘアカラーチョークは最近モデルや芸能人も愛用中で
若い女性達に人気らしい。
一般客として行ったつもりだったが、
トークショーのあと、サイン会をしているあいだ、
ギャラリー関係者たちと立ち話をした。

このあと、写真家お二方を交えて食事にいくが、
ご一緒しないか、と誘われた。
嬉しい誘いではあったが、だとしたら、
事前に荒木さんに挨拶をしておく必要がある。

いきなり行くとなんでオマエがここにいるんだ、
ということになりかねない。
サイン会がおわるのを見計らって挨拶に行った。
「この旧ソ連の帽子、ボリスからもらったんだ」
「知っています。トークショー拝見していましたから」
「なに、見てたの?おお、そうか」
十五人ほどの人数で骨董通りの和食屋に行った。
ぼくはテーブルのいちばん隅からひたすら恐縮しながら
二人の写真家をボーッと眺めていた。
はじめて目にしたときの衝撃度はハンパじゃなかった。

写真の舞台となっている社会的背景、
あるいは写真家の人物像をまったく知らずに見ればなおさらである。
ぼくの場合、そうだった。なんだコリャ、と唸ったものだった。
もっとも、どう衝撃的かを解説するには、
ぼくの文章力ではどう書いても陳腐にしかならなさそうで、

イヤなのだが、とにかく、グロテスク(あるいは狂気?)
とユーモアは紙一重であることを実感した。

人間社会の、ある種の極限状態が写し出されていて、
見ているとなんだか、ぼくの知らない世界を上から覗き見しているような、
そんな妙な感覚にとらわれた。
そもそも、この写真集は、言葉をはるかに越えてしまっているので、
実際に見てもらったほうがはやいのだが、
最近、無修正版はなかなか入手困難とのことだ。
ぼくの関心は、とにかく、
この写真をどう写真として成立させたのか。
そしてその写真を撮影した人物はどのような人間なのか。
写し出された現実とは裏腹に、そのようなさまざまな想像を誘う。
そこがまた、写真集として優れた点でもある。
テーブル中央の斜めむかい側にすわっているミヒャエロフ氏は
じつに人の良さそうな老人だった。

鼻の下に髭をたくわえ、ニコニコと笑顔を絶やさず、
一人一人とゆっくり丁寧に対応されていた。

田舎の農家を訪れたら、最初に笑顔で出迎えてくれそうな、
そんなあたたかさがあった。
荒木さんの言葉を借りれば「お茶目」な写真家なのである。
ぼくはどこか安心した気分にもなったが、
同時に謎がますます深まったようにもおもえた。

ナルホド、このような人からあの写真が生まれるのか。
トークショーでは過去の作品から現在のものまで、
スライドに写し出されてた写真を見ながら本人の解説を聞いた。

一貫したかんがえの基、
かなり論理的に写真を構築しているのが意外でもあり、
興味深かった。

そして、時折おりまぜるジョークはやはりなにかを越えていた。
一方、荒木さんは、現在会場に展示されている自身の作品について触れていた。
写真としての「花」と「空」、それと「死生観」についての話。
この話は何度か聞いてはいるものの、
幼少期の戦争時代に体験した東京の空襲については初めて聞いた。

荒木さんによれば、敵であるアメリカ軍は墓地だけは狙わなかったそうだ。
だから空爆があると墓地に逃げ込んだ。

そこで見た赤く染まった空、墓地の花などがいまの写真につながっているとのこと。
おもしろかったのは、トークのあと、会場からの質問コーナーがあった。
それでは最後にあとひとり、というところで若い女性がおもむろに質問した。
「男と女にとってセックスは必要なことだとおもいますか?」
正確にそう訊いたか定かではないが、
そのようなニュアンスの質問で、いずれにしても、要点が曖昧であり、
ものすごいことを訊くな、とおもった。
で、それに対して荒木さん。
「え?なに、セックス?また、そんなむずかしい質問を。

だって写真だってカメラにフィルムを入れないと撮れないじゃねーか」
この、切り返し。さすがです。
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